アート・ディレクター、水谷孝次さんが「デザインが奇跡を起こす」を出版(産経新聞)

 ■「笑顔」が世の中を幸せに

 2008年の北京五輪開会式。世界中の子供たちの笑顔をプリントした傘が開かれたシーンを覚えているだろうか。その写真を撮ったアート・ディレクター、水谷孝次さん(58)が『デザインが奇跡を起こす』(PHP研究所)を出版した。デザインの賞を総ナメにし、バブルのころには稼ぎまくっていた水谷さんがたどり着いたのは、デザインで世の中を幸せにすること。元気がない日本人に「志を持って飛べ!」と熱いメッセージを贈る。(喜多由浩)

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 旧型のデジカメをぶらさげて回った国は25カ国。撮影した「笑顔」は3万人分以上になる。「MERRY PROJECT(メリー プロジェクト)」と名付けられたイベント。メリーとは、「ハッピー」をもっと広げて、深くしたようなイメージだ。

 日本を代表するアート・ディレクターの一人である水谷さん。バブル景気のころにはどんどん大きな仕事が舞い込み、通帳の残高がとてつもなく膨らんだ。クライアントもお金に糸目はつけない時代。フランク・シナトラを起用した航空会社のポスターを作ったときは、わずか45分間で数億円がかけられたという。

 「こんなのおかしいし、ちっとも楽しくない。日本をおかしくしたのは間違いなくバブルですよ。『まじめに働くのがばかばかしい』ってね。でも、お金じゃ幸せにはなれない」。水谷さんは虚構に満ちた商業主義との決別を決意。そして“メリーの道”へとのめり込んでいく。

 9・11同時テロで標的になったアメリカ、津波の被害を受けたインドネシア・スマトラ島、大地震に襲われた中国・四川…。悲しいときにこそ「笑顔」が必要ではないか。そう考えて危険な地域にも乗り込み、カメラを構えた。もちろん収益なんかない。いつしかついたあだ名が「笑顔を胸にしたドンキホーテ」。

 「ひとにメリーを与えると自分にもメリーが返ってくる。お金がなくても、笑顔と優しい言葉を与えればいいんですよ」。北京五輪のプロジェクトも無報酬だった。難しい条件を突きつける組織委員会の前に企画は何度も頓挫し、最後は単身、北京に乗り込んで開会式の総監督を務める張芸謀氏(映画監督)との直談判に持ち込んだ。

 「『思い』は強いですね。成し遂げることで世の中を良くしたいと思うから。今の日本は豊かで成熟した社会だから、若い人たちは志を持ちにくいのかもしれないけど、エネルギーも感じない。『思えばかなうんだ』という強い気持ちを持って飛んでみることが必要じゃないのかな。そんな情熱とロマンが奇跡を起こすんです」

 長引く不況で、事務所の維持さえ容易ではない。だが、こうした時代だからこそチャレンジできることもある。「守りに入ってはダメ。苦しいときこそ『笑顔』ですよ」

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